Oct 29, 2008

ピキピキポットに想う

去年のクリスマスイヴ、b-shopにてLABOUR AND WAITセレクトのBrown Bettyというポットを買いました。
あまりに「当たり前」で「普通」のフォルムが美しい…一緒に行ったオメリさんも購入。
でもお金を払う時に、「水に浸けてから使ってください…割れる可能性もあるので…」と言われました。セール価格に興奮していた私たちはその時何も考えられなかったのですが、帰り道、だんだん冷静になってからその言葉を思い出しました。恐怖に陥るオメリと私。母の教えにより陶器を使う前には必ずお湯に一晩浸けていたので、そのポットはすぐにお湯に浸け、使う前に2日くらい待ちました。
でも、熱湯で紅茶を淹れると、小さくピキピキという音が…見ると釉薬にヒビが…! すぐオメリにポットの具合を確認すると、やはりピキピキするとのこと。我々の間ではそのポットは“ピキピキポット”と呼ばれるようになりました。正月休みの間も我々の交わすメールは全てピキピキポットのことばかり…しまいにはピキピキポットが英国音楽に与えた影響について語り合っていました。(ちなみに、その時に聴いていたオービタルのポット的テーマは“ピキピキポットからの脱却”ということでまとまりました。きっと彼らはステンレスのポットで紅茶を淹れていたのではないでしょうか…そんな音がします)
数週間が過ぎ、ピキピキポットのピキピキにあまり関心がなくなった頃、テレビで名探偵ポワロを観ていました。するとジャップ警部がオフィスでピキピキポットを使っているではありませんか! 大興奮で同じくポワロファン、食器マニアの母に自慢。しかし当時の母は東欧製のガラスポットに恋をしていたのでどうでもよさそうでした。
そして先日、母のためにピキピキポットを買いました。母は、恋をしていた東欧製のポットを始め、家にあったポットを次々と割ってしまったらしいので、チャンスと思い。
母は食器愛用歴ウン十年…ピキピキポットはピキピキさせるのか…気になっていました。
結果、ピキピキしました! 母は最初は気になったそうですが、今は「毎日使っている。忙しいからあまり気にならない」だそうです。父も気に入っている様子で、「釉薬がまだ生きている。何年も使えばなじむ。これはイングランド人が何年も使っているはずだから大丈夫だ」そうで。父はイギリスの血が騒いだのでしょうか(父の母方はイングランド系)。

私のピキピキポット(背景に学生っぽく教科書が写ってます)

オメリさんのピキピキポット

ピキピキ いと美しきかな
同じ形なのですが、使い方によってまったく違うものになるポット。
おすすめです。

Oct 26, 2008

ジョットとその遺産、テレビ番組上映会

タイトル通り、テレビ番組上映会に行ってきました。東郷青児美術館で開催されて、応募したら運良く当たって行ってきたのですが…『ルネサンス時空の旅人〜聖なる都アッシジ物語』。日本テレビの文化の日記念に作られたものらしいです。たしか、HPでは映画って説明してあったような…?
完全にだまされました。あれは何の意味があるんでしょうか?大竹しのぶが旅人として出てきて、ジョットにまつわる場所に行ったりするのですが…何も残りませんでした。絵の全体像をまず見せて、それから細かい部分を見せながら、なぜかその時に全体の構図の説明を…そしてそのままほかの作品に移って…?全体の構図の説明をするなら全体を見せろ!
笑いどころはたくさんあったのですが。大竹しのぶがダンテの神曲の冒頭を朗読します、と言って洋書の真ん中のページを開いて日本語で読み始める…?あれ?
一緒に行った元ルームメートのオメリさんは、笑っているか寝ているかでした。
終了後、みなさんぶーぶー文句を言ってました。そりゃそうだ。きっとあの状況で上映会に行きたいと希望する人たちは、ある程度美術の知識がある人たちだと思う。それなのにあんなものを見せられるなんて。
ちなみに、最初に講演をしたもと日本テレビのディレクターが解説をつけた来年のカレンダーが出口で売ってました。それが売りたいだけなの?

ちなみに、まだ展覧会には行ってません。高所恐怖症の私。42階って…考えただけでも無理です。でもジョットのために行くしかないです。
六本木ヒルズの森美術館にしてもそうなのですが、高いところに美術館を作る必要なんてあるのでしょうか?理解できません。飛行機乗るのがいやでまだヨーロッパに行けない人もいるのに…なんでわざわざ42階に美術館を作って絵画を観るチャンスを奪おうとするのでしょうか。
…ま、これは極端な冗談ですけど。

とにかく、だまされました。

富弘美術館

先週、両親の住む黒保根(まだ実家と呼べない)に行ったついてに、家から車で30分くらいのところにある富弘美術館に行ってきました。
ここは星野富弘さんという手足が不自由な画家の美術館です。彼の作品は本当に色の美しい、優しい作品でした。24歳の時に事故で手足の自由を失い入院中に花を眺め、同じ場所から動けない自分と花を重ね合わせたそうです。そういう彼の花の絵は、本当に生き生きとして、花がこちらに語りかけているようです。
そして絵からあふれる富弘さんの魅力。お母さん、お姉さん、そして現在は奥さんに支えられ創作活動をしているようなのですが、女性に恵まれている人なんだな、と思いました。魅力的じゃないといくら優しい女性でもそこまではしないだろ…と思うのです。事実、ロビーの壁に描いてあった彼の入院中のメモはとても優しく、ユーモアに満ちていた。一緒にいて楽しい人でもあるんだろうな…。

ところで、ここの美術館、星野富弘さんの絵画意外にも、建物が魅力的です。ヨコミゾマコトさんが設計し、91年に開館したそうです。長方形の建物の中を、いくつもの円を組み込んでいます。円の中の長方形って、たまにあるような気がするのですが、長方形の中の円というのは、初めての体験でした。私の直感としては、後者はスノッブな感じ、後者は優しい感じ。その優しい建物は星野富弘さんの絵画に合っているように思いました。小さな作品が多いので円だと見やすい気がしますし。そしてこの美術館は草木湖に面しているのですが、湖を全面ガラスの部屋から見ることができます。その部屋、天井が鏡になっていて、開放感といったら何の!母と私はあそこで昼寝をしたい…と。

美術館の裏から。季節がちょうど良かった。こんなに紅葉が美しい。
カフェにも寄りましたが、イームズの白いシェルチェアが、なんだかかわいかったです。カフェで使われているシェルをかわいいって思ったことなんてあんまりなったのですが。
コーヒーは、まあまあでした。母がパンを頼んだのですが、それが入ってきた器がシンプルでかわいかったのに、なんで飲み物は紙コップを?残念でなりません。

帰りに隣にある道の駅に寄りました。そこで干し椎茸を発見!安くておいしかったです。

Oct 12, 2008

ウディ・アレン『メリンダとメリンダ』


ウディ・アレンの『メリンダとメリンダ』を借りて観ました。
とあるカフェで、劇作家ふたりが喜劇と悲劇に関する議論をしていて、同じ話をそれぞれ喜劇、悲劇へと発展させて行きます。キーワードは同じなのに、まったく違う物語が出来上がって行きます。
とにかくウディアレン的。悲劇のメリンダの台詞はあまりに悲劇的で笑えてきます。あと、ウィル・フェレルという俳優さんの演技が良かった!ウディ・アレンが出てこなくてもこの俳優さんのおかげでウディ・アレン的な役割の人がいた感じになって良かったです。
「絵に描いたような悲劇」と「絵に描いたような喜劇」の対比。
結局、自分がどっちを選ぶか、ですよね。
私は断然、喜劇的な人生を選んでいます。

モロッコのお皿とボキューズ

先日、YHさんと国立新美術館にあるボキューズのレストランへ打ち合わせがてらランチをしに行きました。
ランチおいしかった!メインなんかは普通のフレンチって感じだったんですが、デザートのクレームブリュレがなんとも言えずおいしかったです。
そしてYHさんにモロッコのお土産のお皿をいただいてしまいました…!

う…美しい。家に帰ってtauko氏に見せたら「使わないで飾っておこう」と言われました。そのために新しい食器棚を…そして新しい食器棚を置ける家に引っ越さなきゃ…

ところで、新美術館にあるciboneでずっと探していたものにやっと巡り会えました!
それは、「石膏デッサン入門」というガチャガチャのシリーズ。
一年くらい前、三省堂本店で見つけて一回やったのですが、あまりに出来が良くてもう一回やろうとしたらtauko氏に「1回でいい」と言われ泣く泣くやめました。でもそのあともずーっと探していました。三省堂本店はすぐに「人体模型」シリーズに変わっていました。その後、私はあらゆるところで探しました。大型スーパー、おもちゃ屋、高速道路のサービスエリア…そして諦めかけた頃、やっと見つけたのです。

そして今回はマルス(真ん中)を入手!
マルスの顔が好みなので満足!

こういう細く、楽しいものを200円でやってしまう株式会社ユージンは、かっこいいです。
HPを見たら、人体模型シリーズに男子生殖器も出るらしい。ほんのちょっと欲しいな…なんて思います。