Sep 20, 2008

チャイナ・アヴァンギャルド展

マリ・クレール誌のプレゼントに当選して国立新美術館で開催されている『チャイナ・アヴァンギャルド展』ナイトツアーに行ってきました。私が翻訳をしている本の担当編集者のYHさんを誘って行きました。
キュレーター平井氏とマリクレールの編集長がトークをしたあと、展覧会を観に行くというものでした。
タダで展覧会を観られたのは本当に楽しかったのですが、トークが不必要でした。
ちなみにYHさんはとなりで寝ていた…そして次に見たら編集長のイラスト作成…。わかります。だって編集長のお話は…。直前に展覧会を観た、ということでしたが、知識のエッセンスになるようなものはなにもなく、展覧会を観れば自分でわかることばかり。せっかく担当の学芸員がいるのなら、その人に話していただいた方が展覧会を楽しめたと思います。
でも最後に学芸員の方が「良いと思っても気持ちが悪いと思ってもいい」と言っていました。その言葉で私は心から展覧会を楽しめました。
王広義の作品が本当に良かったです。特に『無題(赤い格子の後ろの聖母)』は心に響きました。

血のようにも見える赤い格子の後ろでうつむく聖母マリアは、赤い権力の後ろにいる美しい心のように見えました。また、聖母マリアであることによって、西洋に憧れる中国の姿にも見えました。
中国の一般市民がどのような気持ちで共産主義のもと生きているかわかりませんが、きっと芸術家は葛藤していたに違いない。王広義の作品を眺めていると、そう感じました。
反感は買うと思いますが、芸術は葛藤している方がいいと思います。
担当学芸員によると、現在中国のアートは買い手が多くて、作家への先払いが多いらしい。
もちろん、先払いでも素晴らしい作品は出来上がるかもしれませんが、なんだか純粋な創造性のようなものが薄れそうです。どこか商業的になってしまうような。
もちろん、アーティストもご飯を食べなきゃいけないわけで、作る人がいて買う人がいるのは当然です。
でも、ここ10年くらいの作品を観ていると、なんだかなあ、と。おもしろいけど感動しなかったです。
もちろん、これは私の個人的な感想ですが、なんだかモヤモヤした六本木の夜でした。

…ちなみにHYさんとは今度3階のボキューズのレストランに行く約束をし、お別れをしました。
彼女はまた会社に戻るとのこと…。カンバレ。

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